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上海見て歩き

 


多倫路の街並み

世界的猛暑だった8月、上海を訪れた。中国語の短期留学が主目的だったが、朝は大学近くの公園へと足を運び、授業後の午後には上海の街を見てまわった。超高層ビルの林立や公共交通網の充実など、街は6年前に訪れた当時と様変わりしていたが、一方でそんなに変わっていない、ほっと落ち着けるような街にも出会えた。(文・写真:大戸修二)

■日本人が住んだ街「虹口」

 留学先(宿泊先)となった上海外国語大学は虹口区にある。上海には第二次大戦の終わりまで10万人もの日本人が滞在し、その大半が日本人居留地だった虹口(ほんきゅう)地区で生活していた。上海外国語大学のキャンパスも、じつは旧上海第二日本高等女学校があった所で、当時の校舎の一部が今も残っている。

 道を隔てて魯迅公園がある。早起きの私は、毎朝のように公園内を散歩した。太極拳や健康器具に夢中になる人、楽器の生演奏や合唱、将棋を楽しむ人というように、公園は高齢者たちの元気さにあふれていた。遊泳禁止の看板がある池では、多くの年配者が悠々と泳いでいた。

 公園南には多倫路という通りがある。その昔、文豪魯迅をはじめ日中の作家たちが住んだ街であり、今は多倫路文化名人街として街並み保存がされている。1階店舗、2〜3階居宅という長屋前をリヤカーが通り過ぎる。その光景は昔にタイムスリップしたような雰囲気をかもし出す。

 これらの地域を含め、さらに南下した蘇州河と黄浦江の河畔までが虹口地区。日本人街として賑わった当時の建物はほとんど残っていないが、「路」と表わされる道路の骨格は、当時のままに生きている。


魯迅公園

魯迅の銅像(魯迅記念館内)

太極拳をする人たち(魯迅公園にて)

多倫路


ガラス細工をする若い職人(多倫路にて)


上海外国語大学虹口キャンパス

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