私の1冊

「こどもOSランゲージ−こどもから学ぶ・おとなが変わる−」

キッズデザイン協議会「こどもOS研究会」発行

推薦者:伊藤可奈子(アトリエK)

 こどもOS研究会は、NPO法人キッズデザイン協議会に設置されたこども目線、こどもゴコロから新たなデザイン指標を作ることを目指して活動している調査・研究機関だそうだ。

 こどもOSとは2歳頃から小学校卒業頃までの子供が持つ自由で豊かな感受性や想像力、直観力から引き出される思考力や行動をコンピューターのOSになぞらえ、こどもたちを突き動かしている基本プログラムという意味合いを込めて定義している。こどもの目線を通して大人が忘れてしまった能力を呼び覚まし、創造性と遊びゴコロに溢れたモノづくり、環境づくりをして行こうというものだ。

 こどもは面白く、かわいい。昨年、知人の子供4人にお絵かきを教えてほしいといわれ、教えるほどのことは出来ないが、一緒に遊ぶということでいいのならと引き受けた。周りは大人しかいない生活でのこどもとの接触はまさに「非日常」、かなり刺激的。今日はこれをしようと一応シナリオを作るものの、その通りになった例はない。まったく「想定外」の視点から責めてくる。

 もちろん、課題はある。今日は粘土で動物、新聞紙でドレス、版画などなど、少し教えて後は好きにやらせる。するとどんどん自分の世界に入り自分ワールドが出来てくる。それぞれの頭の中で様々な世界が展開している。それにメッセージはちゃんとある。後は褒めるのみ。嘘ではなく本当に面白いものが出来るので嬉しくなる。大人のかさついた頭には、しっとり魅力的でワクワクするひと時なのだ。こういう接点が「こどもOSランゲージ」が言わんとする大人が変わることなのだろう。

 無駄と思えることもアンバランスなことも大人の感性がそう決めるのであって、こども感性ではとても面白くて楽しいものなのだ。誰もが持っていて今は物陰に隠れてしまったこの感性を思い出し「何か」に活かす。これがヒト・マチ・クラシのワクワクの原点になるのかも知れない。時々こどもと遊ぶこと、これは絶対お勧めです。


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