釜山シンポジウムに参加して

鎌田 徹

1,セミナーについて

 このセミナーに望む釜山市側の趣旨については、、最初の安市長の挨拶の中に端的に現れている。

 美しい自然に囲まれた環境であり、中央政府は開発制限をかけている。釜山の発展を図るには、制限の緩和を行い、計画的な開発を行うことによって、企業を呼び戻し、持続的な発展を促していく。その具体的な方向性については、アジア太平洋地域の主要港湾としての位置を活かしながら、韓国の東南圏での中心的な流通都市、南部の海岸地域における観光開発の中心都市を目指し、内陸部と海岸部を調和させながら開発する方法に、新しい都市概念のモデルをを作り出す考え。

ということで、今後の発展が大いに期待されるところ。

 開発制限の緩和に当たっては、貴重な自然を失ってしまうことのないように、長期的な視野から、残すべきところと、自然を十分に取り込んで、開発するところとを、決めることが必要ではないか。そのためには、開発の関係者だけではなく、自然環境に見識のある学者も含めて、十分検討されることが大切だと思う。

 釜山市が、都市鉄道の建設を進め、鉄道分担率を高めようとされていることは、賢明なことだと思う。ただ、採算性を考えたとき、小距離の輸送に対して、路面電車の導入を検討されたらいいのではないか。現状はバスで分担されているということだが、いずれマイカーが増えてきたときに、バスもまた機能麻痺を起こすことが考えられる。この点ではヨーロッパの各都市が参考になる。

2,現地見学で

 海運台新市街地は、海運台海岸のごく近くにあり、美しい海岸線に簡単にアプローチできるという点では、環境に恵まれていると思う。100万坪(330ha)に、12万人というから、かなりの高密度であるが、我々が見学させてもらったお宅は、170m2もあり、1戸1戸は、十分すぎるくらいの広さがあった。後で聞くと、その半分くらいの家もあるということだが、それでも日本では標準になる。

 昼間のためもあって、まちの中は、あまり人通りがなかったが、今後どのようなコミュニティが形成されていくのだろう。10年後、20年後に訪ねてみたい

 海運台に行く途中で、広安里海水浴場沖の海上に、道路が建設中であった。海水浴場からの視界を大きく支配してしまいかねないのは、少し残念に思う。おそらく海上しかルートがとれなかったのだろう。

3,その他

 人々の顔も、生活様式もほとんど同じようなのに、言葉の壁はやはり大きい。今度行くときには、ハングル文字はせめて読めるようにしたいと思う。


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