大阪・釜山都市 Design Seminar (討論の部)
平峯 悠
釜山市の地形と種々の開発制限区域は概ねわかりました。
大阪と違うのは、都市整備・道路整備・鉄道整備等の変遷を考えたときに、集中的に投資をすればかならず回収できると思っていた。だが、大阪の場合は平面的に拡がりますから、鉄道・道路の利用率が必ずしも高まらない。
釜山市のように全体の整備効率が良いので、都市鉄道等の経営が経営難になるのではなくて、成立するのではないかと思いますが、このあたりの考え方はどうですか。
崔 治國
まちの動線(交通軸)としては、地下鉄1 ・2 ・3号線を軸に考えている。完成すれば、鉄道の分担率は35%まで上がると考えている。
釜山市の場合は、地形的な条件から見ても都市鉄道の利用効率は高まるものとして、地下鉄の建設に力を入れている。
平峯 悠
国際貿易都市あるいは集客都市を目指されているが、これを成立させるための具体的戦略としてはどのようなことを考えているのですか。
大阪は国際都市をやろうとして、都市基盤の整備と開発をSetすることにより新たなimpactが生まれると考え、基盤施設と国際貿易都市(例)と結びつけて行なうことなどを考えている。
釜山市はどのように考えていますか。
金 圭植
釜山市の場合は、国際貿易とか情報化で苦心している。
国際貿易都市で言えることは、新港湾の建設があり、現在事業が始まっている。
情報化の問題では、情報化団地約35万坪を計画しており、現在約5万坪が実施の直前になっている。
これ以外にも様々な計画を予定している。
具 本興
日本では80年代の民活法による整備が積極的に行なわれ、先程の説明によるPFIの活用など活発な動きをしているが、聞きたいのは次の点である。
- 80年代の民間資本(100%) によってできた事業を紹介していただきたい。
- 中央政府と地方自治体の共同で行なわれる事業の分担率はどれぐらいか。
- 90年代以降現在まで計画中の事業も含めて、民間資本(民活)による事業があれば 教えていただきたい。
今中 昌男
民間事業(100%) は、80年代には民間developerが土地を購入し、住宅地を供給するなど事例はたくさんあります。
具体的な公的開発の分担率は良くわからないが、調べて連絡します。
90年代から現在までの民間開発は当然行なわれているし、公的機関と民間が共同して開発している事例もたくさんあります。
釜山側より
緑地に関してお聞きします。
- 公園・緑地計画の中で、緑地は公園を意味するのか。
- 緑地も時代の流れによって変わっていくと思うが、変わっていく時はどのようにして変わっていくのか。
藤田 健二
中央環状線の沿道に100haをこえる緑地が数カ所あり、これは戦中の防空緑地、避難緑地であり、現在では火災、震災等の緑地並びに都市住民の憩いの場としても活用されている。
また、Green Belt構想とあわせた緑地計画として、大阪の都市構造に位置づけ公園としても活用している。
大阪には北・東・南に3山系があり、これらのほとんどが近郊緑地保全区域、自然公園区域に指定され、この中に府営公園をあわせて計画し、自然的利用、都市的利用も含めて大規模公園として計画している。
緑地機能についてはその規模によって変わるが、防災・景観形成等の機能などによって利用のされ方が異なる。
(例)
- 淀川河川公園は、河川を含めた大規模公園として位置づけている。
- 密集市街地の内水排除問題を含め、公園を活用した調整池をつくるといった併用利用も行なっている。
岡村 隆正
現在工業団地をつくっているが、そこへの企業誘致の見込みを教えて下さい。
背景としては、
- 都市開発が難しい時代。
- 世界規模(グロ−バリズム)で経済が動く。
- 土地を所有して採算に致るのは難しい。
方向としては
- 山・海への拡大、拡散の都市づくりから、都市再生、compact cityといった都市づくりが考えられる。
- Apart開発、工業団地整備、交通整備等の組み合わせをうまくしなければ、都市の形からも、労働者の生活の面からも、非効率な都市になってしまう。
朴 奉 鎭
合理的な開発がなされていなという指摘はわかります。これには歴史的な経過があり、なかなか難しい問題である。日帝の時代を経て戦後復興の入口となった。
また、基盤が未整備のまま大量の人口が流入してきた。その後、朴政権で産業振興策がとられた。
工業団地はコストが高く、どのように安くして売るかが課題となっている。
今後は、市民の協力を得て、進めなければいけないと思っている。