大阪の産業社会を元気にするために人材戦略を

道下弘子

  1. 社会・地域の動きに強い関心を持つ人。
  2. 何事にも強い興味を持って仕事をする人。
  3. 理解力の高い人。
  4. 仕事に対する姿勢の高い人(パートタイム的な考え方の人は不要)。
  5. 今日のことは今日中に片づける人。
  6. 人脈を大切にする人。
  7. 年齢を超えて幅広くつきあいを持つ、あるいはつきあいたいと考えている人。
  8. 挨拶・礼儀・上下関係をわきまえた人(体育会的)。
  9. 根性のある人。
  10. 酒飲みでつきあいを断らない人。
  11. 新聞をしっかり読む人。

 わが社の求める人材像だ。

 昨春来、ず〜っと営業やプランナー(予備軍)を募集しているが、おりまへん。ハローワークや人材バンクだけでなく就職情報誌や新聞に募集広告を出しても、タマはいない。民間の人材紹介会社は紹介料が200万円、しかも1カ月を経てから退職しても知らん顔というルール。面食らいました。

 わが社の面接の段取りは、会社説明→常識試験→個別面談の順。仕事がら残業が多く、給与も貧しいことは面接時にちゃんと脅しておくのだが、認識が甘いのだろう。すぐに腰砕けになる。面接時にたまたま居合わせた地域デザイン研究会のK幹事が「えらい脅すんやね」とびっくりされたこともあったほどだ。もちろん研修期間内にこちらから「もう来んでよろしい」
と最後通告することもしばしばだ。

 常識試験の出来がかなり悪くても、最終的には人物本位、価値観である。そこで、上記をつくった次第。これに賛同できない人は個別面接の前にさっさと帰ってもらうことにしている。

 わが国の失業率が高いのは人材のミスマッチも一因しているという報道があったが、さもありなんと実感する。中小企業の一番の悩みは「人材」。金も必要だが、企業の発展は「人」なのだから、中小企業のまち・大阪というのならもうちょっと対応策を考えるべきだ。公共のあっせん・紹介機関は未だにアナログ社会。出向いて順番を待って、所定の用紙に記入して、いつかかってくるやらわからない電話を待つしかない。人材バンクに至っては人材はコンピユータ登録されているものの、検索もできず情報のプリントアウトもできない、メモと鉛筆をもっていかねばならないと中国の優秀な情報関連技術者が日本に来ずにカナダやアメリカに渡っているという。かの国では簡単に市民権を得て生活できるという外国人にも不公平でない労働環境を整える人材獲得戦略をとっているからだ。いつ国外退去命令を受けるかわからないような国ではじっくり腰を落ちつけて働くことはできない。戦略なしのニッポン、「人」の施策なくしてパワフルな産業社会もあり得ない。

 「女性起業家」への資金融資なんぞというわけのわからない不公平な施策の前に、「大阪に行ったらパワフルな人材がいて、ジャストマッチで選択できる」、「自分の好みの職業をジャストマッチで探せる」、「ベンチャーのパートナーがすぐに探せる」などという環境をつくるべきだ。さらに優秀な外国人も大阪でなら働きたいと考えるような環境を率先して整えるべきではないか。

 地方政府が独自のシステムをつくれば、すでにある国の機関と競合する−−など、やりにくい理由はいっぱいあろうが、積極論で進めてもらいたい。

 人手が足りなくてついつい「もうええか採用」してしまうことのないよう渇望する。


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