プサンのまちを見て

今中昌男

 大阪には在日韓国・朝鮮人の方々が多く住み、韓国からの旅行者・ビジネス客も多い。
 更に、10年前から始められた、古代の韓国と日本の交流史を絵巻物のように見せてくれる「四天王寺ワッソ」は多くの参加者・観光客を得て、大阪のお祭りとして定着している。また、南北朝鮮の友好を目指した「ワンコリアフェスティバル」も大阪で開催されている。

 最近2つのイベントを実際に見てみて、改めて大阪と韓国の関係、とりわけ第2番目の都市である大阪とプサンがどのような関係を築けるのかが、大阪の国際化、活性化の大きな要素だなと思うようになりました。プサンにはこのような思いがありました

 約10年前にソウルに行きました。南大門市場等韓国らしさをまだまだ残しながらも、ソウルの近代的な整然としたニュータウンにどこか冷たい感じを受けたのに対し、プサンは、町が広がりやすい地形を選んでアメーバ―のように広がったようで、やや無秩序な、どことなく温かみを感じられるような印象を受けました。
 また、山裾から建ち上がり山頂を突き抜けるような高層住宅は日本にない風景であり、その鮮やかな色彩とともにやや異常なくらい景観のバイタリティーを感じさせます。

 旧市街地は陸屋根のコンクリート造の住宅がこれまた雑然と広がっている感じで、伝統的な韓国の民家が見られないのはなぜだろうと、残念な思いとともに不思議に思いました。一方、郊外では高層の集合住宅が作られており、韓国の方の説明では、若い世代は集合住宅に住みたがる傾向だと言われていたが、そうだとすれば、今後日本のように高齢化の進展とともに旧市街地の人口減→衰退が問題になるのかな、と心配にもなりました。

 韓国の住宅事情、人々のライフスタイルなどは良くわからないが、旧市街地の住宅地リニューアルなどにより中心部で人が住みつづけたいと思う状況にしておくことが大切と思う。開発規制区域を緩和し計画的市街地を作り出すべきか、現在の市街地をより高密な市街地に再生していくか、ここは思案のしどころではないかと思いました。

 中心部の商業施設である、国際市場の界隈は随分の人出があり、その活気に驚きました。特に海辺にも近く、買い物とくつろぎが同時に満たせる、いい雰囲気のエリアでした。また、ここに来るための地下鉄料金が日本円で40から50円と安く、これも中心商業施設の集客力の一つになっているのだろう、交通機関の安さも都市の中心性の維持には大切だなとも思いました。
 今日の新聞に「韓国新幹線いよいよ発進」と試運転が始まったことが報道されていました。新幹線が出来るとソウル・プサン間は1時間56分で結ばれるようになるそうです。そうなると日本と同じように、首都であるソウルへのより一層の一極集中現象が起こるのではないだろうか?この時にプサンは韓国の中でどのようなポジションを占めようとしているのか、シナリオはあるのだろうか?

 大阪を中心とする関西圏も我国第2の都市圏であり、今後の都市圏のあり方について共に知恵を出していけるのではないか、力を出し合えるのではないかと思いました。(もっとも今の関西圏からすれば、プサンの活気を少し分けて頂戴と言う所かもしれませんが。)
 そのためには、いろいろなレベルで交流し、お互いをもっと知ることだと思います。
 両都市にとって、今回のシンポジウムのようなものが継続して開催していければ意義深いものがあると思います。
 ごく気軽な気持ちで参加しましたが、格調の高いシンポジウムになっているのに驚きました。舞台設定された日韓の方々のご苦労に感謝いたします。


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