大阪における都市計画〜その経緯と概要〜

大阪都市高速鉄道(株) 平峯 悠

 ます、私の方からは、大阪における都市計画、その経緯と概要ということでお話申し上げます。

 皆様方のお手元に、reportが行っていますので、ご参照いただければ結構です。ここでは、OHPで少し順を追ってご説明しますので、どうぞ見ていただきたいと思います。

京阪神都市圏の構成

 このOHP第1ページ目は Landsat の絵であります。大阪はどこにあるかといいますと、この中心部にあります。この、大阪、神戸、京都、奈良、和歌山、こういったところが京阪神の都市圏を構成しています。

 この構成の仕方は、日本の中でも特殊な構成でありまして、東京、首都とは違った状況であります。

 しかしながら、大阪が東京と比べて少し地盤沈下を起こしてきたのは、経済的な問題もありますが、その他いろいろの問題があったからだと思っています。

大阪の街造りの変遷


(人口・経済の変化と都市計画の変遷)
拡大図


地帯構想図拡大図


道路網計画→拡大図

 次に、大阪のまち造りの変遷ということでお話ししますが、1945年から1970年ぐらいまでは、大阪の人口とか産業が極めて急増しました。

 この時代に都市計画、都市開発が何をやったかといいますと、もちろん戦災復興はありますが、大都市圏の Sprawl 対策、あるいは、既成市街地の再開発といったものを順次進めて参りました。

 この中で特に Impact がありましたのは、1970年の日本万国博覧会の開催、あるいは、関西国際空港の開港、花と緑の博覧会でした。こういったbig projectを、national project を誘致してその機会に都市基盤を整備するということが極めて重要であります。

 そういう意味で、現段階ではだいたいの都市基盤は完成をいたしておりますが、これからは、本当にいい環境の都市造りということと、活気のある都市を造っていくということが重要な課題となっています。

大阪の総合計画

 次に、大阪の都市計画で一番基本となった、「地帯構想」あるいは「総合計画」を少し見ていただきたいと思います。

 これは、1967年に作られました大阪地方計画です。当時極めて人口の急増時期でありましたので、非常な知恵を絞って、大阪の骨格、あるいは将来を見通したということであります。

 一つ目は地帯構想図で書かれてありますように、交通網と、地帯構想が書かれており、大阪母都市を中心として、その周辺との連携を深める。それから、産業とか工場を外に回す。あるいは、臨海部の開発を行う。こういったことを中心として地帯構想を描くとともに、道路網の骨格を作る。

 これがその時の道路網図でありますが、今考えてみましても、この道路網が無かりせば、あるいは、阪神高速道路が無かったなら、現在の大阪は存在したかどうか、疑問であります。そういう意味で、この骨格造りというのは、一番の基本となっております。

 また、臨海部の開発というのは、大阪の使命でありましたが、重化学工業中心となっておりますので、それが大阪の産業の地盤沈下を起こしている。もっと、high-tech 指向の産業を誘致すべきであるのに、構造転換ができていないということが、大阪全体の大きな弱点となっております。


鉄道網計画→拡大図


新しい総合計画→拡大図

 これは鉄道網計画でありますが、鉄道網に関しては、今の形と相当変わっています。なぜ変わったかというのは、鉄道はその時の一番採算のいいところを通るということでありますから、住宅開発あるいは、その他の開発に合わせて、鉄道網を整備するということになりましたので、あとで説明があると思いますが、計画とは非常に変わっています。

大阪府新総合計画

 現在の新しい総合計画というのはこの図ですが、今ねらいとしておりますのは、やはり、国際的な交流というのを中心とするという意味で、大阪湾岸の Area を重要視しています。これは、Asia 諸国との交流とか、特に韓国あるいは中国との貿易、観光、文化、教育、こういった交流というのを中心とするということにしております。

 この実現については、かなりまだ難しい点がございますけれども、一つはこの構想があり、もう一つは、母都市大阪市の中の高度情報化機能を強化するということで、大阪市が国際的な集客的な都市になるということが前提であります。

 それから、その周辺については、木造密集市街地というのが、日本の特徴でありますが、その密集市街地の改造をやっていくということと、緑の保存ということを、併せてやらなければならないという theme を持っています。

 都市開発を行うときに、大変難しい問題がたくさんありますけれども、鉄道とか道路、こういったものを、中心として、その周辺を整備していくという手法は、極めて重要であり、有効だと思っております。しかしそれだけでも難しいので、この周辺のことについては、全体の市街地改造ということで、整備をしていくという方向が望ましいと思っています。ただ、このことにつきましては、まだ完全に正しい開発手法が十分に整備されておりません。これは、皆さんともご意見を交換した上で考えていきたいと思います。

 また、地球温暖化、あるいは、環境の創世というようなことになりますと、これは、世界的な問題がありますので、大阪のみの話してではなく、各外国の諸都市も参考にしながら、そのような地球温暖化対策、環境の創造に対して、整備をしていかなければならないと考えています。

大阪 Monorail

 最後に、皆様方の白い袋の中に入っております Monorail につきまして、一言だけ申し上げます。

 大阪を環状に取り巻くということで、約 50km の構想を持っています。今現在はそのうちの 21km が完成いたしました。

 この Monorail というのは、新しい交通機関ですので、釜山市の方でも計画があると思います。ただ、これは開発途上の鉄道でありますので、いろんな問題を抱えておりますから、もし、皆さん方の中で、こういうことをなさろうということであれば、いろいろご意見を申し上げることもできますし、見に来ていただけたら幸いであります。

 写真をお見せしますけれど、これが走行中の Monorail です。これが分岐器、それから駅舎の中の platform。

 ざっとご紹介申し上げました。以上です。あとで機会がありましたら、またお話しします。

    

HOME   目次へ   次ページ

inserted by FC2 system